2008年10月28日火曜日

株価と配当

株価は将来の配当を現在価値に割り引いた値になる。これを配当割引モデル(Dividend Discount Model)という。DDMは株価評価を行ううえで基本的な考え方である。
割引率は、株主がその企業の株価を1期間だけ保有するに十分な利益率である。市場が配当一定成長のDDMに基づいて期待形成していると仮定する。
r=E(D)/P + g
割引率は、配当利回りと配当成長率により表現できる。

配当割引モデルによる株価評価のケース
P:株価 e: 予想 D:配当 r:割引率 g:成長率 t:期間

1)ゼロ成長モデル
(ア) 配当が一定のモデル
① P = eD / r

2) 一定成長モデル
(ア) 配当が一定の成長率で増加する
① P = eD / (r -g)

3) ターミナルバリューを考慮したモデル(T時点=ターミナルバリューの現在価値を求める)
(ア) 株式価値は現在からT期までの期待配当を現在価値に割引、とれにT時点のターミナルバリューの現在価値を加算したもの
① P = ∑(t=1)*eD / {(1/r)*(1/t)}+TV /{ (1+r)*(1/t)}
② TV = ∑(t=1,∞)*eD(Dt+j)/ (1+r)*(1/j)

4) サステイナブル成長モデル
(ア) 一定の条件のもとで成長するモデル
① P = eD / (r – g)
② g(成長率)=留保率(1-配当性向)*期待ROE
③ 前提:配当性向、ROE、負債比率を一定、株主資本は内部留保による

当社の場合、配当ゼロ成長モデルもありえるが、割引率によって株価が変わる。一定成長モデルかサステイナブル成長モデルでの試算が適切であると考えるが、現状少し無理があるように思う。

2008年10月14日火曜日

ROEと株価

自己資本利益率(ROE)と株価の関係について簡易式で説明する。

R=E/A

R:自己資本利益率、
E:一株あたり利益(EPS)
A:一株あたり純資産(BPS)
P:株価

EPSをBPSで割るとROEが計算できる。
次に右辺にPER(株価収益率)を乗じると、

(E/A)×(P/E)=P/A 

これは株価純資産倍率(PBR)となる。

自己資本利益率×PER=PBRとなる

現在のT社の株価に当てはめてみると、

現在株価         1100円
株式数           81百万株
公表予想当期利益    150億 2009年末予想
BPS2007年3月末    2160円
EPS予想          184円

PBR 1100円÷2160円=0.5倍
PER 1100円÷184円=5.97倍

予想ROE=0.5÷6=8.3%

マーケットは今期ROEを 8.3% と想定した株価を1100円と見ているといえる。

2008年10月13日月曜日

第1部 「財務計画の策定と成長」

財務計画の策定により企業における変革の基本方針が確立される。これらの基本方針には、①企業の財務目標の特定、②財務目標と現状の財務状態との違いに関 する分析、③財務目標を達成するために必要な行動指針、が含まれなければならない。財務計画策定の基本的要素は、①企業が利益をあげるために選択する投資 機会、②企業が用いることにした負債の量、③企業が必要且つ適切だと考える株主に払う現金の額、からなる。これらは、企業が成長と収益性のために決定しな ければならない財務政策である。

財務計画の策定とは何か。
財務計画の策定は、財務目標に到達するための方法を案出する。これは、①時間的な枠組みと②集計のレベル、の二つの側面がある。
① 時間的な枠組みとは
財務計画は、将来に何がなされるべきかを明示したものである。ほとんどの意思決定が、実施よりもはるか以前の段階でなされることを必要とする。
② 集計のレベルとは
財 務計画は、企業の各投資案件に関するキャピタル・バジェッティング分析からまとめあげられる。実質的には、各営業単位における、より小規模の投資計画が集 約され、一つの大きなプロジェクトとして取り扱われる。このプロセスが「集計(aggregation)」と呼ばれる。

実際の財務計画の 策定にあたっては、常に一連の代替的な仮説(シナリオ)をたてることが必要となる。たとえば、最悪のケース、正常のケース、最良のケースの3つの仮説であ る。これら各々のシナリオに沿った財務計画策定は、多くの時間を費やす可能性が高いため、策定にあたっては、次の4点がポイントとなろう。
ⅰ. 相互作用:投資提案と資金調達の選択肢との関連を明確にする
ⅱ. オプション:どのような資金調達方法が最適か判断する(工場閉鎖や新製品の販売についてのオプションを評価する)
ⅲ. 実行可能性:株主の富の最大化という全社的な企業目標に適合しなければならない
ⅳ. 予想外の事態の回避:財務計画の策定によって、将来、特定の出来事が発生した場合に、何が起こる可能性が高いのか認識すべきである。財務計画策定の目的の一つは、予想外の事態を回避することである。

おいもさん

第1部 「貸借対照表と損益計算書」

ご存知の方も多いと思うが、貸借対照表は、決められたある特定の時点の企業の会計価値を表すものであり、損益計算書は、二つの時点間で企業の行動を会計的に記録したものと言える。

貸借対照表を見るときに注意しておくべき点として以下の三つを上げることができる。
それは、1.会計的流動性、2.負債と株主資本の違い、3.価値と原価の違いについてである。

1.会計的流動性とは、資産を現金化できる容易さと速さを指し、通常貸借対照表には流動性の高い順に資産が計上されている。
流動性が高い資産を多く保有すると、企業が財務的困難を回避する確立は高まるが、流動性が高い資産ほど収益率が低い傾向にあるため、どの程度のバランスで資産を形成するかは企業を運営していく上での大きなポイントとなる。

2. 負債と株主資本の違いについてであるが、負債は規定された期間内に現金の支払いを必要とする企業の債務であり株主資本は、資産と負債の差額と定義すること ができる。貸借対照表の根底にある定義として貸借対照表等式(資産=負債+株主資本)があるが、負債を左辺に移動し、資産-負債=株主資本ということも言 える。実際、企業が債務不履行に陥った場合、当企業の負債を保有する債権者に、キャッシュフローに対する最初の権利が与えられ、株主に戻ってくるものは債 権者が権利を行使した後の残高のみである。

3.価値と原価の違いであるが、貸借対照表には多くの場合資産が原価で計上されるため、実際には企業の価値を表しているとは言いがたい面もある。
経営者は、掛かった費用(原価)よりも多くの価値を企業に生み出すことが求められており、そういった意味では原価<価値となるべきである。
しかし、企業の価値を貸借対照表上に公正妥当な数値として計上することは難しく、よい経営、独占的資産、好ましい経済状況等、企業の本当の資源の多くが表現れていない。

損益計算書を見るときに注意しておくべき点として以下の三つを上げることができる。
それは、1.一般に公正妥当と認められた会計原則、2.非現金項目、3.時間と費用である。

1. 一般に公正妥当と認められた会計原則では、収益は商品のサービスの交換が生じると、損益計算書上に認識される。一部の資産価値が2倍になっても交換されな いと損益計算書には計上されないため、事業で損失が発生した場合に価値の上がった資産を売却することにより利益操作が行えてしまうといことになる。

2.非現金項目とは、キャッシュフローは損益計算書には現れないということである。
非現金項目の費用として最重要なものに減価償却費がある。設備投資をした場合、設備を購入した時点または、契約で決められた時点毎に現金を支払うことになるが、減価償却費はまったく別の概念で会計上認められた方法で計上することになる。
したがって、キャッシュフローと減価償却費の計上はまったく別のものになってしまう。
そのため、黒字倒産と言った現象も発生することになる。

3. 時間と費用であるが、損益計算書を見るうえで短期と長期を意識することも時には必要となる。短期において意思決定する場合、意識決定により変動させること が可能な変動費と、固定された契約のため変動できない費用である固定費に分けて考えることは重要である。逆に長期の場合、すべての費用が変動費となる。

同心

第1部 「キャッシュフロー」

今回は、企業の財務諸表からキャッシュフローをどのように測定するのか理解するのが目的である。まず、今回の要点を1)と2)に列挙した。

(1)キャッシュフローは、企業によって生み出され、債権者と株主に支払われるものである。それは以下のように分類できる。

(ア) 営業活動からのキャッシュフロー
(イ) 固定資産の変化からのキャッシュフロー(投資からのキャッシュフローともいう)
(ウ) 運転資本の変化からのキャッシュフロー(財務からのキャッシュフローともいう)

(2)キャッシュフローの計算は難しくないが、減価償却や繰延税金などの非現金費用を適切に処理するために注意が必要となる。特に純運転資本と当期純利益の変化によるキャッシュフローを混同しないことが重要である。

まず、純運転資本の説明からはじめる。

【純運転資本】
企業は、固定資産への投資に加え純運転資本にも投資する。純運転資本とは、流動資産から流動負債を引いたものである。これは純運転資本の変化と呼ばれ、前年末と当年末の変化をいう。例で説明する。

A社   流動資産  流動負債  純運転資本
2007年  700  -  500  = 200
2008年  750  -  430  = 320
上記のように成長企業の場合、純運転資本の変化はプラスである。

【財務キャッシュフロー】
ファイナンスにおける企業の価値は、財務キャッシュフローを生み出す能力にある。
そして、まず認識しなくてはいけない点は、キャッシュフローが純運転資本と同じではないということである。

棚 卸資産と現金は流動資産であるから純運転資本に影響しない。しかし、棚卸資産の増加はキャッシュフローの減少をともなう。これは、企業資産価値が常に負債 価値と株主資本価値の合計と等しいように、営業キャッシュフロー(A)は債権者へのキャッシュフロー(B)および株主へのキャッシュフロー(S)と等しく なる。
CF(A)=CF(B)+CF(S)

企業のキャッシュフローを測定する最初のステップは、営業キャッシュフローを計算することからはじめる。
営業キャッシュフローは、企業の販売営業活動の結果によるキャッシュフローである。税金支払いを反映するが、資金調達、資本支出、純運転資本の変化は反映しない。

企業から出て行くキャッシュフローは、債権者に支払うキャッシュフローと株主に支払われるキャッシュフローに区別できる。債権者にたいするものは借入元金と支払利息である。株主に対するものは配当金支払いに自己株買戻しと新株発行を加味した正味の結果である。

キャッシュフローは、企業の財務を理解するために重要な意味を持つ。
営業キャッシュフロー(金利・減価償却控除前利益―税金)は必要運転資本を含まない営業から生み出されるキャッシュフローである。これは常にプラス出なければならないが、急成長企業においてはマイナスになる場合もある。
固定資産取得や資本支出が売上からくるキャッシュフローよりも高くなる場合があるからである。

もうひとつ注意することが、当期純利益はキャッシュフローではないことだ。特に減価償却費、繰延資産などの取扱によりこの違いが明確になる。

最後にキャッシュフロー計算書の3つの要素をまとめると以下になる。

●営業キャッシュフローは、当期純利益に減価償却など非現金費用を加え戻し現金以外の流動資産と負債を調整する。
●投資活動からのキャッシュフローは、固定資産の取得と固定資産の売却の変化である。
●財務活動からのキャッシュフローは、債権者と株主に対する変化による。

akindo

第1部 「金融市場について」

金融市場とは、資金の貸借取引が行われる場、あるいは資金需給が調整される市場ないし過程のことをいい、金利はそこに成立する価格のことをいう。
この場合、資金の貸借取引の範囲ないし資金の性格のいかんによって金融市場の意味もさまざまに理解することができる。

ここでは、金融市場を、取引される資金が短期か中長期かによって短期金融市場と資本市場に分類してみる。

短期金融市場はその名の通り短期的(通常1年以内)に資金が取引される市場のことをいい、資本市場は中長期(1年を超える)に資金が取引される市場及び株式のための市場のことをいう。

短期金融市場の中核はディーラーにより作られる。
ディーラーの一部例を挙げるとするとニューヨークにある大銀行、コマーシャルペーパーのディーラー、多数のマネーブローカーなどである。
こういったディーラーの業務は、短期金融市場商品を自社のリスクとして在庫にもつことにより、常に売り買いの注文に応じる価格の気配値を提示する取引を主体としている。

ここで注意したいのはこれらのディーラーは、顧客のために代理人として株式を売買している株式ブローカーとは、実際に証券を取得しない点で違っていることをいっておく。


20080903
_食_ハンバーグで肉汁たっぷりの一工夫
ハンバーグを成形する際に、真ん中付近にくぼみを作ってみなさん焼くと思いますが、そのくぼみに市販で売っているコーヒーゼリーを押し込んで焼いて見ると食べてびっくり!!肉汁たっぷり、高級感のあるハンバーグが出来上がります。

雑学王

宿場の女将の話し

★何故金行ではなく銀行なのですか?

明治初期のお話です。
アメリカの国立銀行法「National Bank Act」の「Bank」を日本語に訳すとき、福沢諭吉などお偉いさんが集まり議論を重ねました。「金と銀を扱うお店だから・・・金行か、銀行でしょう」と 話し合ったそうです。ちなみに「行」という文字は中国語で「店」という意味があり、この文字をくっつけようとしたそうです。
結果、金行(きんこう)よりも銀行(ぎんこう)のほうが言いやすかった。という理由で「銀行」に決定したそうです。
銀本位制だったから「銀行」にしたんだ!という説もありましたが、おそらく間違いかと思います。「銀本位制」とは、紙幣を銀行に持っていけば、銀と交換してくれるお金の事です。
日本で最初にできた銀行は・・・明治6年の第一国立銀行(現在のみずほ銀行(旧第一勧業銀行)」です。しかし、当時の紙幣は不換紙幣が大半を占め、「銀」や「金」と交換できないお金が主流でしたので、この説は説得力がないかと思われます。
日本銀行券が発行され、銀本位制が開始されたのが1885年(明治18年)のことです。


★ダスキン 名前の由来
ダスキンといえば「100番 100番」で有名な会社ですよね(笑)さだまさしさんの顔が浮かんできます☆この「ダスキン」という変った名前。どういう意味があるのでしょうか?
ダスキンの「ダス」とは「ダスト」のダスです。日本語で言うと「チリ ホコリ」という意味です。
そして、「キン」とはなんでしょう^^?「ばい菌」の「キン」?
ブブ~☆
答えは雑巾の「キン」でした。
創業者の「鈴木清一」さんは「株式会社ぞうきん」という会社名にしたかったそうです。(なんというストレートなお方^^) しかし、社員に反対されこの名前になったそうです。
鈴木氏はフランチャイズ展開の先駆けの一人としても有名な方です。(日本の企業で初めて国際フランチャイズ協会に加盟しています)

おいもさん

第1部 「株主による企業統治」

「株主は企業を統治出来ていない」と主張する人がいる。それは株主数の増加による企業所有権拡散という事実が主張根拠にあると推論される。例えばGEは 53万人を超える株主を抱え、IBMは61万人を超える株主(いずれも2003年時点)が存在しているという事実がある。確かにその主張はいくらか納得で きるものの、あまりにも単純な発想ではないだろうか。
以下に挙げるいくつかの統治手段を用いて、株主は経営陣を株主の自己利益に結びつけるよう働きかけができると考える。

1. 人事権(選任権)行使による取締役および経営陣支配
2. 報酬決定権(ストックオプション付与含む)行使による行動インセンティブ
3. 株価下落に伴うテイクオーバーリスクによる株価最大化への行動インセンティブ
4. 経営陣の創り出す価値対する適切な報酬提供

と どのつまり、人事と報酬というシンプルな手段により、株主価値を最大化するよう経営陣を統治出来るのではなかろうか。実際、どのように法人企業が株主価値 を最大化できるかに重点が置かれるが、時に株主を犠牲にして経営陣の目的を追求することがあることに疑いの余地はない。また企業の目的を考える際には、顧 客や従業員等さまざまなステークホルダーの権利を考慮に入れなければならない。

次回は金融市場について。

魔法使い

第1部 「企業活動の目的」

「企業の最も重要な目的は」の問いに対する伝統的な答は、「企業の経営陣が株主のために意思決定を行うこと」と言える。なぜなら株主が企業を所有し統治し ているからである。しかし、経営陣と株主は、もし放置されれば、それぞれが自分の利益のための行動を試みるようになると仮定されている。

そ こで「契約セット理論」から、経営陣は通常は株主の最大利益のために行動すると推測されるが、経営陣の目的は株主の目的とは異なるかもしれない。G. Donaldsonによると、経営陣の基本的財務目的は「企業の富の最大化」と結論づけられる。つまり、経営陣は①存続(経営陣が十分な資源を指揮して企 業が廃業するのを避けようとすること)を②独立性と自給自足(外部関係者や金融市場に依存することなく意思決定を行う自由。企業内で生み出されるキャッ シュフローをあてにする)という二つの基本的なモチベーションによって影響されるとされる結果、「企業の富の最大化」を目指すのである。「企業の富」と は、経営陣の有効な統治の下にある富であり、企業の成長と規模に密接に関連している。成長のための資金を提供し新規の株主資本調達を制限することで成長へ の増加へ導く。つまり、企業の富(の増加)は必ずしも株主の富(の増加)ではない。

それでは、株主は企業を統治できているのだろうか。(続く)

おいもさん

お茶屋で一休み (IRと帳簿)

今回は、IRとも関係の深い帳簿の歴史について書きます。

財務活動と会計情報を投資家に適正かつ的確につたえるのがIR(Investor Relations)活動といわれています。

帳簿は1449年イタリアのルカ・バチオの著した「スマン」(数学大全)に体系的にかかれたものが始めだと言われています。1590年に徳川家康が江戸入りしましたのでそれより140年前の事になります。


日本最古の現存帳簿は、国立史料館にある伊勢松坂射和出身の富山家が残した「足利帳」(1615年~1840年)です。富山家は江戸で栄えた伊勢商人の一人です。当時も商人の間では大福帳が使われていました。
大福帳は単式簿記で入出金の記録として使われていましたが、足利帳は正味身代(純資産)と利益について記載されており、資本と利益の概念が当時からあったことが分かります。


当時商人は、貸借対照表を算用目録帳、損益計算書を大黒帳といって使い分けていたそうです。一方、こうした帳簿は、伊勢商人の源流といわれる近江商人である中川家にも同様の複式簿記があります。


今のような複式簿記は、1800年中頃のイギリス、ドイツ産業革命の時代には完成していたそうですが、日本独自の複式簿記は江戸時代に伊勢と近江商人が既に使っていたといえます。


その後、明治6年、福沢諭吉がイタリア式複式簿記を「帳合之法」という翻訳本で日本に紹介しました。

この本は1971年著アメリカの簿記の教科書でしたが、これが今の帳簿となり、現代の決算報告書として企業が投資家に報告する会計情報の元となっています。


日本にも帳簿があったにもかかわらず何故、欧米の会計帳簿を使うようになったのでしょうか。 

諭吉はこういっています。「古来、日本では、学者は貧乏、学者は自らを高く、金持ちは無学なり。金持ちは、商売に学問は不要なり、学問は身代を潰すものなり」といって自らを賤しめていたそうです。

諭吉の功績は、それまで大福帳で商売をしていた商人に、伊勢と近江商人しか使っていなかった記帳方法と考え方を広く万民に伝えたことでした。

また、諭吉は、「金持ちも学者も天下の経済更に一面目を改め、全国の力を増すに至らんか」。といって国富を願ったそうです。

IRに話しを戻します。従来IR活動は会計情報の提供でした。最近、Jパワー、サッポロビールのもの言う株主の動向を見ると、時代背景によってIR活動も進化しなければならないようです。

昨今では株主ガバナンスと企業価値向上をIRの課題とする企業が増えてきました。

諭吉の言葉を借りると、「従来、企業は、志は高く、投資家は経営に無知なり、投資家の言うなりは企業を潰すものなり」という風土が日本には未だあるようです。

今、日本の経営者は、この難局を、翻訳物のCSR(ガバナンス強化、JSOX)を導入し切り抜けようとしているようですが、温故知新の考え方も大切だと思います。

AKINDO

第1部 「エージェンシー・コストについて」

企業の形態には、個人、法人の2つがある。法人企業の中で最も多い形態は株式会社形態です。
株式会社のメリットは、低い課税、低い限界法人税率、潜在株主の低い限界個人税率、に加え、再投資にゆうりな利益留保が簡単であることがある。

企業法人の目的は、何であろう。伝統的な答えは、企業の経営陣が株主のために意思決定を行うものである。なぜなら株主が企業を所有し統治しているからである。

エージェンシー・コストと契約セットの観点

企業の契約セット理論(set-of-contracts viewpoint)によると、企業は一連の契約としてみることができる。
請求権のひとつは株式の残余財産請求権である。株式の契約は依頼人と代理人の関係として定義できる。いいかえれば経営陣と株主である。
株主は経営陣の行動を監視することにより、経営陣が株主の利益から逸脱することをやめるよう仕向けることができる。経営陣と株主の利害衝突を解決する費用は、エージェンシー・コストと呼ばれている。
この費用は、1株主による監視費用と、2統治手段の実施費用の合計として定義されている。

契約セット理論では、企業の経営陣が通常は株主の最大利益のために行動することが示唆されている。とはいえ、エージェンシー問題は決して完全には解決されず、結果として株主は経営者の逸脱した行動のため失われた株主の富の損失である。

第1部 「最高財務責任者について」

大企業ではたいてい副社長や財務管理責任者(CFO)が幹部社員として財務活動にかかわっている。最高財務責任者に報告するのは、経理部長と財務部長である。
財務部長はキャッシュフローの管理、資本支出の意思決定管理、財務計画策定に責任を持つ。
経理部長は、税金、原価計算、財務会計、情報システムを含む会計機能を扱う。

財務管理で最も重要な仕事は、企業のキャピタルバジェッティング、資金調達、そして純運転資本活動から価値を生み出すことと考えられる。

1.企業は費用より多くの現金を生み出す資産を購入する努力をすべきである。
2.企業は費用より多くの現金を調達できる債券や株式その他の金融商品を販売すべきである。

eFinance.com業界におけるCFOに必要なスキルとは、、 出所:ビジネスウィーク 2000年8月

1.ストラティジストである。重大な決断をすばやく下すためにリアルタイムな財務情報を活用する
2.ディールメーカーである。企業合併、買収、パートナー戦略に精通している。
3.リスクオフィサーである。リスクを限定するためには、ヘッジ手段など複雑になるにつれ重要になる。
4.コミュニケーターである。ウォールストリートとメディアに対して信頼を得ることが重要である。

第1部 「コーポレートファイナンスの紹介」

これからコーポレートファイナンスの基本を学んでいきます。全編は、8部構成になっています。
第1部は概観、第2部は価値とキャピタルバジェッティング、第3部はリスク、第4部は資本構成と配当政策、第5部は長期資本調達、第6部はオプション、先物 第7部は短期財務、第8部はトピックスという構成です。長い道のりですが、少しずつすすめていきます。

まず第1回目は第1部の概観になりますが、「コーポレートファイナンスとは?」についてです。

第1部では、引き続き概観の部分を記載していきます。

コーポレートファイナンスとは?

企 業が事業を新たにあじめると、原料と労働力を集め生産を開始します。これを資産といいますが、この資産を集めるために資金を集めます。資金は他人資本と自 己資本に別れます。製品を販売すると現金が会社に入ります。これが価値の基本です。 企業はこの現金=キャッシュフローを増やすために活動します。この価値創造の枠組みを表すのに貸借対照表モデルを使いコーポレートファインナンスの説明を します。 ものを作るには固定資産と流動資産が必要です。固定資産は機械や設備や特許や商標権などです。製品を作れば在庫ができます。この在庫はたな卸し資産とも いって流動資産に分類されます。 企業は、製品を作る前に資金を集めなければなりません。資金にはローン契約などによる負債資金がありますが、これも固定負債(1年以上の返済)と流動負債 (1年以内の返済)に分かれます。この負債資金とは別に株主持分である株主からの出資による調達もあります。これは負債ではなく株主資本といいます。 そこでコーポレートファイナンスの考え方が重要になります1.企業はどのような長期資産に投資すべきかを考えるキャピタルバジェッティング(資本支出予 算)とキャペックス(資本支出)管理が必要になります。2.短期の営業キャッシュフローをどのように管理するか。純運転資本管理を行う財務管理が必要で す。

Akindo