今回は、企業の財務諸表からキャッシュフローをどのように測定するのか理解するのが目的である。まず、今回の要点を1)と2)に列挙した。
(1)キャッシュフローは、企業によって生み出され、債権者と株主に支払われるものである。それは以下のように分類できる。
(ア) 営業活動からのキャッシュフロー
(イ) 固定資産の変化からのキャッシュフロー(投資からのキャッシュフローともいう)
(ウ) 運転資本の変化からのキャッシュフロー(財務からのキャッシュフローともいう)
(2)キャッシュフローの計算は難しくないが、減価償却や繰延税金などの非現金費用を適切に処理するために注意が必要となる。特に純運転資本と当期純利益の変化によるキャッシュフローを混同しないことが重要である。
まず、純運転資本の説明からはじめる。
【純運転資本】
企業は、固定資産への投資に加え純運転資本にも投資する。純運転資本とは、流動資産から流動負債を引いたものである。これは純運転資本の変化と呼ばれ、前年末と当年末の変化をいう。例で説明する。
A社 流動資産 流動負債 純運転資本
2007年 700 - 500 = 200
2008年 750 - 430 = 320
上記のように成長企業の場合、純運転資本の変化はプラスである。
【財務キャッシュフロー】
ファイナンスにおける企業の価値は、財務キャッシュフローを生み出す能力にある。
そして、まず認識しなくてはいけない点は、キャッシュフローが純運転資本と同じではないということである。
棚 卸資産と現金は流動資産であるから純運転資本に影響しない。しかし、棚卸資産の増加はキャッシュフローの減少をともなう。これは、企業資産価値が常に負債 価値と株主資本価値の合計と等しいように、営業キャッシュフロー(A)は債権者へのキャッシュフロー(B)および株主へのキャッシュフロー(S)と等しく なる。
CF(A)=CF(B)+CF(S)
企業のキャッシュフローを測定する最初のステップは、営業キャッシュフローを計算することからはじめる。
営業キャッシュフローは、企業の販売営業活動の結果によるキャッシュフローである。税金支払いを反映するが、資金調達、資本支出、純運転資本の変化は反映しない。
企業から出て行くキャッシュフローは、債権者に支払うキャッシュフローと株主に支払われるキャッシュフローに区別できる。債権者にたいするものは借入元金と支払利息である。株主に対するものは配当金支払いに自己株買戻しと新株発行を加味した正味の結果である。
キャッシュフローは、企業の財務を理解するために重要な意味を持つ。
営業キャッシュフロー(金利・減価償却控除前利益―税金)は必要運転資本を含まない営業から生み出されるキャッシュフローである。これは常にプラス出なければならないが、急成長企業においてはマイナスになる場合もある。
固定資産取得や資本支出が売上からくるキャッシュフローよりも高くなる場合があるからである。
もうひとつ注意することが、当期純利益はキャッシュフローではないことだ。特に減価償却費、繰延資産などの取扱によりこの違いが明確になる。
最後にキャッシュフロー計算書の3つの要素をまとめると以下になる。
●営業キャッシュフローは、当期純利益に減価償却など非現金費用を加え戻し現金以外の流動資産と負債を調整する。
●投資活動からのキャッシュフローは、固定資産の取得と固定資産の売却の変化である。
●財務活動からのキャッシュフローは、債権者と株主に対する変化による。
akindo
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